小さな国際交流

Writen by さとこさん

11月で、私たちは移住してから12年目を迎えました。
こちらの生活にはすっかり慣れましたが、夫婦で標準語を話していると未だに
「どちらからこられたんですか?」と観光客扱いされてしまいます。
12年が経っても変わりません。

以前の記事「龍神村自宅からちょっと気軽に行ける観光スポット」で「けん玉外交」について書きました。フランスの男の子に高野山でけん玉のhow toを教え込んだ国際交流の楽しい思い出です。

そんなさとこさんの家に、フランスからのお友達が遊びに来てくれました。フランスに嫁いだ私の中学の同級生が、その息子のイッセイ君と一緒に龍神村に遊びに来たいと常々話していたのです。そして、その夢が叶い、遊びに来ただけでなく、娘の通う小学校に数日間の体験入学をすることになりました。

公立小学校への体験入学となると、学校だけでなく市の教育委員会にも話が及ぶと思いました。そこで、村の龍神教育事務所の知り合いに相談したところ、彼らが田辺市教育委員会に問い合わせてくれることになりました。教育委員会からの回答は迅速で、「校長先生が了承であれば、ぜひご自由に」とのことでした。

校長先生にお話すると「このような機会はなかなかないのでぜひ」とすぐに素晴らしい返事をいただきました。都市部の大きな学校では、体験入学の手続きに時間がかかることがあるそうですが、龍神村の小学校は学校と親が近い存在だからこそ、スムーズに進展できたのかもしれませんね。

学校まではスクールバスで、バス停は我が家の前です。イッセイ君は息子のお下がりのランドセルを背負って、近くの温泉宿から毎日歩いてバスに乗りに来ました。

複式学級なので3年生のイッセイ君と4年生の娘は同じクラスでした。3日間の短い体験入学にもかかわらず、学校の受け入れ態勢はとても心温まるもので、教科書の準備や、ロッカーや机にはネームタグが用意されていました。

初日から子供たちはイッセイ君にたくさん質問し、休み時間にはみんなでサッカーをして楽しみました。学校のルールがフランス流とはだいぶ違うので、戸惑う場面もあったようですが、それはそれで先生方も楽しく受け入れて下さったそうです。

毎日帰宅後は、温泉宿の女将さんからおやつをもらい、二人でお喋りを楽しんでいる様子でした。まるで家族のように女将さんと仲良くなったイッセイ君は、龍神村を離れる際にお別れが悲しすぎて泣いてしまいました。

帰路の途中で高野山に一泊し、女将さんからもらった温泉水を大切にしていたイッセイ君。しかし、夜には飲み終えてしまい、悲しみのあまり泣いてしまったそうです。そしてフランスに戻った今でも女将さんからもらったアイスの棒を大切にしているそうです。

熊野本宮大社での平安衣装着付け体験、白浜観光、那智観光などをして、私たち家族も貴重でとても楽しい日々を過ごしました。体験入学を受け入れて下さった学校の先生方、仲良くしてくれた子供達、宿の女将さんのおかげです。

最近、イッセイ君のクラスメイトと先生が手紙を書いて送ってくれました。3週間後に無事にフランスの自宅に届き、大変喜んだそうです。龍神の子供たちもイッセイ君も、それぞれに素敵な思い出を作り、大きくなってもこの経験を覚えていてくれたら嬉しいです。

紀伊田辺駅周辺や中辺路、本宮などに住む子供たちは、熊野古道を訪れる外国の観光客に触れることがあるでしょう。しかし、同じ田辺市でも龍神村の子供たちは海外の方や異文化に触れる機会が少ないのが現実です。今回のような子供たちの小さな国際交流の機会がこれからも増えるといいなと心より思っています。

お読みくださりありがとうございました。

この記事を書いた人

さとこさん

埼玉県出身。3年間の海外生活以外は実家を出たことがない。 子供英会話講師など英語に関わる仕事を続けて、友人の紹介でテレビ番組の翻訳業務に就き、テレビディレクターである今の夫と結婚。東京でのママ生活を満喫していた。ところが、2012年夏、夫の「龍神村へ移住したい」の一声で当時2歳の息子と3人の移住決定。今は長女にも恵まれ、親族も友達もいなかった関西の、しかも山奥での私の暮らしが続いている。