スマホと言い伝えが教えてくれる天気

Writen by 杉原 功修さん

大塔地域に移住して、今年でちょうど10年になります。 この10年で特に感じたのは、日々の暮らしの中で自然との距離がぐっと近くなったことです。特に気象の変化に対しては、周囲の動植物と同じように、自分自身も自然に生かされているのだと実感するようになりました。

気象の変化については、地元の人々が語り継いできた言い伝えが、驚くほどスマホの気象情報と一致することがあり、思わず感嘆の声を漏らしてしまうほどです。

例えば、「朝虹に川渡るな」「月に雨傘、日に日傘」といった昔ながらの言葉に加えて、「ブヨが多く出ると天気が変わる」「蛇が木に登ると雨が降る」「魚が川でよく跳ねると雨が降る」といった言い伝えも、実際にその通りになることが多く、単なる昔話ではないと感じます。

ある日、スマホの天気予報を確認してから外に出ると、地元の人が「今日は午後から崩れるよ」と言っていた通りに空が曇り始めました。そんな瞬間には、科学と経験が手を取り合っているような、不思議で心地よい感覚に包まれます。

大塔地域は山々に囲まれ、川が流れ、霧が立ち込めることも多い場所です。自然の変化が目に見えてわかるからこそ、長年の観察と経験から生まれた言い伝えには、確かな根拠があるのでしょう。スマホの気象情報は衛星やレーダーによるデータに基づいていますが、地元の人々の言葉には、土地の呼吸を感じ取るような繊細さがあるように思えます。

移住してまだ10年。私は古希を迎えましたが、地域ではまだまだ新人です。 暮らしの年月は浅いけれど、こうした言い伝えに耳を傾けることで、自然とのつながりが深まり、日々の暮らしがより豊かになっていくのを感じています。スマホの情報だけでは得られない、土地に根ざした知恵がここにはあります。

これからも、空の色や風の匂いに敏感になりながら、地元の人々の言葉に学び、自然と共に生きる喜びを味わっていきたいと思います。

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

この記事を書いた人

杉原 功修さん

大阪八尾市から移住して3年になるUターン組です。畑仕事を中心に趣味の帆船模型作り、アマチュア無線、真空管ラジオ・アンプ作りと田舎生活を満喫しています。暮らしを中心に田舎の良さをお伝え出来ればと思います。