秋祭りに込めた想い「春日神社と餅づくりの風景」

Writen by 杉原 功修さん

11月になると、田舎の地域行事の中でも、夏の盆踊りに次いで楽しみにしているものがあります。それは、地域の氏神様である春日神社の例祭に奉納する餅つきです。

春日神社は、平安時代初期に創建されたと伝えられ、奈良の春日大社から分霊を迎えて祀られた由緒ある神社です。主祭神は武甕槌命(たけみかづちのみこと)、経津主命(ふつぬしのみこと)、天児屋根命(あめのこやねのみこと)などで、五穀豊穣や無病息災、家内安全などのご利益があるとされています。

毎年11月に行われる例祭では、県指定無形文化財である「上野の獅子舞」が奉納され、午後には餅まきが行われます。この餅まきのために、地域の人々が心を込めて餅をつくる姿が見られます。

私の地域でも、祭りの数日前から集会所にお年寄りたちが集まり、もち米を蒸して餅をつきます。昔は杵と臼を使っていましたが、今では機械が活躍しています。手際よく丸められた餅は紅白に分けられ、祭り当日に神社の境内から撒かれます。お年寄りたちは「子どもたちが笑顔で拾ってくれるのがうれしい」と語りながら、汗をかきつつも楽しそうに作業を続けています。

この餅づくりは、単なる準備作業ではなく、地域の絆を深める大切な時間でもあります。かつて自分たちが子どもだった頃に拾った餅を、今は自らの手でつくり、次の世代へとつないでいく。そんな思いが込められた、温かく力強い伝統の一幕です。

春日神社の秋祭りは、神事や獅子舞とともに、こうした地域の人々の手によって支えられています。派手な催しはありませんが、祭りに参加する人々の姿は、まるで水のように静かに、しかし確かに地域の文化を潤しているようです。

来年も一人でも多くの方が参加してくださるよう、心からお祈りしました。

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この記事を書いた人

杉原 功修さん

大阪八尾市から移住して3年になるUターン組です。畑仕事を中心に趣味の帆船模型作り、アマチュア無線、真空管ラジオ・アンプ作りと田舎生活を満喫しています。暮らしを中心に田舎の良さをお伝え出来ればと思います。