頂き物の理想と現実
都市部に住んでいる時に 『田舎に住もう』的な番組で、移住された方が「頂き物がたくさんで本当助かっています!」と言う場面。田舎暮らしに憧れて、そのような番組を見る方は多いかと思います。
色とりどりの様々なお野菜が、かごに一杯の画面を見ながら「いいなぁ」と思った人も少なくないはず!
実際のところどうなのか…今日はその話を書こうかと思います。
かくいう私は一人暮らし。
近所には家族も親戚も誰もおらず、中辺路町の山間部で一人気ままに生活をしています。
頂き物に関しては、ありがたいことにたくさん頂きます。
季節の野菜や山菜のみならず、鹿のお肉や川で連れた鮎。
海も近いので、山に住んでいながらイカや海の魚なども…
近所のお宮さんのお供えのお下がりとか、近所に出入りする方が炊いた混ぜご飯や巻きずしなど、かなりバリエーションに富んでいるかと思います。
しかしながら、バリエーションに富んでいるのは年間を通してでのこと。その日で切り出すと大量でどうしよう…なんてことは実は良くあります。
先月末は、たけのこ祭りでした。
移り住んで最初の年こそめったに頂けなかった…たけのこ。
自分で掘りに行きたいのに、最近は貰い物で終わってしまいます。
初物こそ大事に食べますが、シーズン終わりに「生えているのにもったいない!」と15本持ってこられたときは、頂いた夕方から夜遅くまでずっとあく抜きをしていました(笑)。
と、シーズン後半の季節ものの駆け込み量は半端ない量だったりします。
シーズンは関係ありませんが、仕留めた獣のお肉もブロック状態で目測2キロ、魚だったら丸ごと!みたいなことも(捌いたことがなかったので、動画を見ながら必死に捌きました)。
採れる時期が同じなので、頂ける時期も同じです。野菜に関しては、自分で育ててみても基本は同じ。
つまり、「バリエーションに富んだ食べ物を今日はこんな感じに頂きました♪」は夢物語…
その映ってないところに、大量に収穫された&頂いた同じお野菜などがきっとある!と今だったらきっとテレビにツッコんでしまうことでしょう。
どうしよう…なんにしよう…冷凍できたっけ??と大量の食べ物を前に思うわけです。
その大量の頂き物をそのまま放置したり、腐らせるわけにはいかないと、試行錯誤をしながら炊いてみたり漬けてみたり干してみたり…
そしてそれらの作品(?)たち、もしくは作りきれないそのままのもの達、それを欲しい人を探してさらに届けに行ったりします。
でも、あげたものがまたお菓子になったり、探しているものを見つけてきてくれたり…取りに来るついでに買い物してきてくれたり、困ったときに手伝いに来てくれたりと、田舎のコミュニケーションはこれで成り立っているのですよね…。
実際、今回たけのこを配り歩くのが、自粛続きの中、久々に友達に会いに行くきっかけになったりもしました。
最近言われるのですが、食べ物をもらえる人は「あげたら喜んでくれる人。あげたものを無駄にしないで使ってくれそうな人。」だそうで、たけのこを持ってきてくれたおっちゃんも「面倒くさがらずあく抜きしてくれるから。」だそうです。
大量の頂き物はびっくりする上に困ることもあるものの、やっぱりありがたいことですし、最近ではどうにかこうにか掃かせる手段もそれなりにできてきました。
なによりも、そう思ってもらえるのはうれしいので、今日もせっせと頂き物をうまいこと使いながら自炊に励むのでありました。