熊野古道…トラウマコースを歩いてきた話

Writen by 並木 真弓さん

滝尻王子スタートで高原神社まで。初めて登った時にちょっと辛すぎてトラウマで…引っ越してきてからは、途中で引き返していたコースをとうとう歩く日が来ました。

熊野古道中辺路は「スタートと言われる滝尻王子からの登りが実は一番辛い。」という事。

滝尻の入り口にあるお店にいると、知らずに行って引き返してくる方も結構いる急勾配のコースなのです。

辛いのを知らないでくると大変な目に合う滝尻王子はスタート地点です。

さて、ひそかに協力隊を卒業した私。それもあり、別でお仕事をするようになりました。

そしてお仕事で、今まで避けていた熊野古道中辺路のスタートと言われている滝尻王子から高原神社までの約2キロのコースを歩くことになりました。

滝尻から高原神社までは2キロとは言え、500メートルほどの高低差を歩かねばならないので、記憶に残るしんどさ(笑) 

お仕事とは言え憂鬱以外何ものでもなく「あの急勾配を登るのか…仕事だからやらなきゃだけど大丈夫かな…」と当日まで悶々と悩む日々を過ごしました。

前日に友人の語り部さん(熊野古道の歴史などを話しながら案内してくれる方)が案内すると聞き「大丈夫だよ!登れるよ!頑張ってよ!」と言ってもらい、ようやく覚悟を決めたのでした(大袈裟ですね)。

急こう配の上り坂。知らないといつまで登れば?と不安になります。

そしていよいよ登り始めた当日のスタートの午後…

お仕事の都合で写真を撮らねばならない私は弱音をやっぱり吐きながら(笑)、足を引っ張るものか!と意気込んで、語り部さんの説明を聞かずにまずは先に登り始め目的地まで一人で歩きました。すでに息は上がりキツイ…。しかし、なかなか後続が登ってこない…追いつかれるか!と急いで歩いたのに…。

すっかり息も整い、待ち惚けていたら、かなりゆっくりと後続が歩いてきました。

「こんなペースで間に合うのかな?」と思いながら今度は一緒に坂道を登り始めると、すごいゆっくり。すごい楽。本当に楽。びっくりするぐらい楽。

その後、ゴールまで特に辛いと思うことも無く、高原まで登り切れてしまい、当初の不安は一体どこに?くらいの体力の残りよう(笑)。

お仕事の写真もばっちり?撮ることができ、筋肉痛になるほどの疲労も感じられませんでした。

経験豊富な語り部さんはコースのペース配分を上手に行ってくれます。歩いている間や、お話の合間に歴史について語ってくれ、コースの状況を説明してくれます。

参加者はその言葉を聞きながら、時には止まって熊野古道のお話を聞きながら息を整える。

心配ないから景色も楽しめる。頑張らなきゃならないところでだけ頑張ればいいから、余計な力を使わなくて済む。

トラウマになった時は、野中と言う約19キロ先の集落を重い荷物を背負って目指したので、今回は高原までという短い距離だったのと荷物が軽かったという事もありますが、ここまで楽に登れると思っていなかった私にとっては目から鱗な体験なのでした。

友人の語り部さん。女性の方ですが、とっても健脚な方です。

語り部さんがいると楽なのは何度も歩いて知っていましたが、研修やイベントではなく、本気のお客さんとして参加したのは初めてだったので「ここまでとは…」とびっくりでした。

ただ、すべての語り部さんがそうかと言われると…実際は違うのが残念なのですが、上手な方はこんなにも意図も簡単にトラウマを克服させてくれるなぁと思ったのでした。

最近は週に一度ぐらいはどこかに歩きに行っているので(それでも辛くない範囲で2~5キロ)、ベースの体力向上もあったかもしれませんが、すっかり自信がついた私は、年末に友人とお昼ご飯を食べに高原まで歩いて行こうとしています(笑)

最近は、北郡(ほくそぎ)と言うエリアのコースは語り部ができるようになりましたので、ぜひ行ってみたい方は声をかけてくださいね!

でも、ペース配分は…まだ上手にできません!(逆算できるようになるにはやっぱり何度も歩かないとですね)

私の大好きな北郡コース。高低差の少ないゆるゆるコースです。機会があればいつかご紹介します。

そんなお手伝いしたお仕事ですが、来年とあるHPで公開になるそうです。

良かったら見てみてください(笑)。私の頑張った形跡はごく一部です~。

https://tamaki.yamap.com/ (2020年12月現在制作中)

この記事を書いた人

並木 真弓さん

千葉県から熊野古道が好きすぎて地域おこし協力隊として移住。住んでるからには、真剣に取り組まずゆるゆる歩きたくて、いろんなコースを模索中。野菜を育てたいが、マメでないので毎回うまく育たないのが悩み。最近やってみたいことは、適当な装備で楽しめる地味キャンプと釣り。