ツバメの人気物件に悪雲が立ち込み始めました

Writen by さとこさん

龍神村に移住してすぐの頃は大阪出身のお友達と意見が割れたことがありました。
「吉本新喜劇」についてです。
大阪出身の「お友達は新喜劇を観て育った」と言っていいほど、新喜劇の笑いが大好きだと言っていました。一方私は、関西のお笑いは東京に進出した大物しか知らず、関東のお笑いに慣れ親しんでいたので、吉本新喜劇をテレビで観ても全く良さが分からなかったのです。むしろアンチ新喜劇でした。和歌山では毎週土曜日の昼間に新喜劇をやっています。
しかしどうでしょう。10年も経つと、気がついたら吉本新喜劇を観て爆笑している私がいるではありませんか。なんて面白いのでしょう。絶妙なボケとツッコミ。最高です。12歳と8歳の子供達も新喜劇が大好き。歴とした関西っ子ではありませんか!

さて話は変わりますが、私は毎年夏前にツバメの様子をお届けしてまいりました。「今年はさとこさんのツバメのお話はないのかな?」と思われている方、お待たせ致しました。
ヘビや嵐から守るためにできるだけのことをし、毎朝、玄関の巣を見るのが楽しみであり不安でもありました。毎年ストーリーがあり、悲しみと喜びを味わう特別な日々、それが「ツバメの子育てを応援する」と言うことでした。
しかし、今年は、結論から言って、孵化する前にヘビにやられてしまいました。
娘と自由研究の研究材料にしようと、毎日観察をして巣の中の様子も確認していました。抱卵が始まった時は4つの卵を確認していました。しかし、孵化予定日の前日にメスの行動がいつもと違ったので巣の中を確認すると卵が消えていたのです。きっと卵の中でヒナが育っていたことでしょう。一度我が家の巣を去ったツバメの夫婦は2度と戻って来ませんでした。
1回目がダメになったので我が家の巣は危険と判断したのか、数日後、少し離れた集落で今年2回目の巣作りをしているのが確認できました。(ツバメの写真を撮っていたので同じ夫婦だと認識できたのです)しかし、そのお宅でもヘビにやられて全滅してしまったと家主さんが教えに来てくれました。


龍神村は、大自然の中に集落がある様なものなのでヘビがいて当たり前。彼らが生きていくためにツバメの巣を襲うのも自然なこと。でも、遥か遠くの国からやって来て、我が家を子育ての場として選んでくれたツバメたちの子育てがうまくいかないと言うのは、やはり心が痛むものです。
これだけ蛇対策をしているのに、毎年、孵化直前や巣立ち直前でヘビにやられてしまうなら、いっそう、我が家に巣を作らせないほうがツバメも幸せなのではないか、と言う考えも家族内で出て来ています。
そんな、寂しい考えが頭の片隅に残っていた8月のはじめ、ツバメが5.6匹、私の頭上を飛んで近くの電線に止まりました。尻尾の形から親とヒナがいる様です。2日くらい、我が家の周辺に滞在して、どこかへ行ってしまいました。多分、集団生活をするためにヨシの群生がある大きな河川敷に移動してる途中、ここら辺に寄ってくれたのかなって思います。「僕たち、私たち、頑張ってるよ!何があっても頑張ってるよ!だから巣を壊さないで!」って言ってる様な気がしてなりませんでした。

年々、ツバメの数は減少傾向にある様です。街の家では糞害のために巣を作らせたくないと言う理由で。私からしたら、ヘビがいない街だからこそツバメの子育てに協力して頂きたいところですが。もしくは、ツバメが人間の住む家に巣を作らなくなる日が来るのでしょうか。それはちょっと寂しいですね。

この記事を書いた人

さとこさん

埼玉県出身。3年間の海外生活以外は実家を出たことがない。 子供英会話講師など英語に関わる仕事を続けて、友人の紹介でテレビ番組の翻訳業務に就き、テレビディレクターである今の夫と結婚。東京でのママ生活を満喫していた。ところが、2012年夏、夫の「龍神村へ移住したい」の一声で当時2歳の息子と3人の移住決定。今は長女にも恵まれ、親族も友達もいなかった関西の、しかも山奥での私の暮らしが続いている。