子連れ移住事情〜教育編

Writen by さとこさん

先日、和歌山県白浜町にあるアドベンチャーワールドのパンダ「永明」「桜浜」「桃浜」が中国に旅立ちました。ホッキョクグマの「ライト」も鹿児島に引っ越します。
メディアでもネット上でも「和歌山県」が注目されて嬉しい反面、長い間見守ってきた動物さんがアドベンから(この辺あたりではアドベンチャーワールドのことをアドベンと呼びます)いなくなるというのはとても寂しい気持ちです。

さて、今回は子連れ移住11年目の私が本気で悩んでいるお話しをさせていただきます。
「たなごこち」は、未来明るい良いお話をお届けしなければいけないと思う反面、移住者として本当のことをお伝えするのも大切だと思っています・・

3月になり進路の話が巷で聞かれるようになりました。私が今一番気になるのは田辺に住む中学生たちがどんな進路に進むのか、と言うことです。息子がもうすぐ中2になりますが、高校が少ない和歌山県南部(紀南地方)でどのような選択肢があるかなと模索しています。
子連れ移住事情〜保育園編①」では、「当時、私は東京の幼稚園が多すぎて選べなく苦しかったけれど、龍神に移住したら “この保育園に行くしかない” と言う状態だったので、むしろ肩の荷が降りて楽になった」と綴っています。
けれども、子供が成長していく中で「進路」という壁にぶち当たってしまいました。3歳の息子を連れての移住当時は「高校進学」のことまで頭になかったのです。
森林面積が9割を占める田辺市を含む紀南地方は、当たり前ですが都会に比べて高校の数が少ないです。関西の高校事情を全く知らない私が手に入れた関西の高校受験ガイドブックは、とても分厚いのに和歌山県のページは数ページだけ。県立の情報に至っては紀南の高校の詳細が一校も掲載されていない驚愕の事実!!

龍神村ではほとんどの子供達が高校で親元を離れ、寮生活をします。私の感覚からすると高校から親元を離れるというのが未だ信じられないです。高校に寮がない場合、片道1時間かけて親が送り迎えしたり、下宿したりしているそうです。下宿なんて単語は昭和の漫画と言うか、めぞん一刻の世界でしか聞いたことがなかったのでびっくりしました。
高校卒業後は就職する子、専門学校や大学に進む子と、龍神に戻ることなく外に出て行ってしまう子がとても多いのです。この先一年は息子の進路についていろいろ考える年になるでしょう。
ちょうど先日、小3の娘が社会の授業で人口について勉強した時に「龍神村の人口がどんどん減っているけど、どうしたら増えると思うか?」と言うディスカッションをしたそうです。
「無理やり結婚させる施設を作る!」 
「大きなビルを建てて会社を作る!」
とか斬新なアイデアが飛び交ったそうです 笑
「移住してまでも子供達を入れたい!」と全国の移住希望者を魅了するような小中高校が龍神村にあれば良いのにな、と私はちょっと思ってしまいました。なかなか難しい話だと思いますが、「良い教育があるから田辺市に移住したい」と言う理由で移住者が増えるのが理想だなと思います。

ちなみにアドベンには4頭のパンダさんがいますので、どうぞ白浜町・田辺市に遊びに来てください。

この記事を書いた人

さとこさん

埼玉県出身。3年間の海外生活以外は実家を出たことがない。 子供英会話講師など英語に関わる仕事を続けて、友人の紹介でテレビ番組の翻訳業務に就き、テレビディレクターである今の夫と結婚。東京でのママ生活を満喫していた。ところが、2012年夏、夫の「龍神村へ移住したい」の一声で当時2歳の息子と3人の移住決定。今は長女にも恵まれ、親族も友達もいなかった関西の、しかも山奥での私の暮らしが続いている。