マルサの女

Writen by さとこさん

「木の芽どき」という言葉をご存知でしょうか。

3・4月、暖かくなって木の芽が出てきたり、冬を越した虫などの生物たちが動き出す季節のことです。そして、私たち人間は「精神的・身体的に一番バランスを崩しやすい時期」で、情緒不安定・ストレスなどメンタルの不調を招くそうです。要するに、この時期は変質者が増えるのです!

「さとこさん」の家にもこの時期になると、変質者が現れます。

家の玄関の周りをウロウロし、ハシゴにのぼっては降り、玄関前で手をアゴに当てながらじーっと軒(のき)を眺める。
そうかと思えば、子供の憧れ永久プチプチことロールタイプのエアーパッキンとにらめっこ。
ついには、インパクトとノコギリを持ち出して来るという、傍から見たら「ちょっとあの人には声かけるのやめとこう」レベルです。

そう、その変質者とは当の本人「さとこさん」です。

私のこれまでの「たなごこち」記事をお読みいただいている方は、薄々お気づきかと。
そう、そろそろ、あの準備に取り掛からなくてはいけない時期なのです。
そう、ツバメさんをお迎えする準備です。

私にとって「ツバメさんをお迎えする=アオダイショウとの知恵比べのゴングが鳴る」なのです。
去年はクッキングシート(オーブンなどで使うツルツルした紙)を玄関の外壁一面に貼りましたが、孵化予定日1日前に卵が忽然と消えました。アオダイショウにやられたのだと思われます。
今年はエアーパッキンを一面に貼り(プチプチ部は内側に)、その上からビニール袋を取り付け、ちょっとした「ヘビ返し」を作りました。巣の両サイドには「ヘビ返し」として板を、また、柱には去勢後の猫ちゃんたちが付ける「エリザベスカーラー」的な「ヘビ返し」も自作してみました。

我が家の玄関
エリザベスカーラー的ヘビ返し

ただ、3月末にオスが内見をしに来ましたが、数日後、連れて戻ってきたメスがこの巣の横の「ヘビ返し」がお気に召さなかった様なので、片方を外すハメに。
木酢液やヘビ忌避剤はもちろん「一面に何かを貼る」というのは数年来の相棒ですが、今年から「唐辛子」「蚊取り線香」も戦友に迎え入れました。
唐辛子は麻紐で巻き、お洒落ナチュラルエクステリアかと思いきや、玄関先に飾ると、いよいよ呪いか結界をはってるかの様です。でも、私にとってはヘビに入ってきて欲しくない聖域なので「結界」という言葉はピッタリなのです。

唐辛子という名の結界

オリジナルタバスコも自作してみました。ニンニク、唐辛子、酢をミキサーで細かく混ぜて、玄関先に撒きます。粗挽きにした唐辛子もそのまま撒いています。もう、おかしな家です。
壁に貼られたビニールには油性ペンで「ヘビ対策です。ツバメのヒナを守っています」と書きました。変人が住んでる家の証拠です。
今のところ、これらの対策の賜物かヘビ被害にはあっておらず、先日無事に孵化が確認できました。巣立ちまで毎日気が抜けませんが。

私の愛する双眼鏡

さて、近くの電柱の上にどうやらヤマガラさんが巣を作ったらしく、親鳥がせわしく虫をくわえて出入りしています。私は事あるごとにベランダから双眼鏡で観察していますが、その方向には、とある会社の事務所があります。気分を害されてるかもしれませんね、「サとこ」こと「○サ(マルサ)」に覗かれてるみたいで。。ごめんなさい。私はヤマガラさんを見ているだけです。

そんな「さとこさん」の異常行動は春の風物詩です。

この記事を書いた人

さとこさん

埼玉県出身。3年間の海外生活以外は実家を出たことがない。 子供英会話講師など英語に関わる仕事を続けて、友人の紹介でテレビ番組の翻訳業務に就き、テレビディレクターである今の夫と結婚。東京でのママ生活を満喫していた。ところが、2012年夏、夫の「龍神村へ移住したい」の一声で当時2歳の息子と3人の移住決定。今は長女にも恵まれ、親族も友達もいなかった関西の、しかも山奥での私の暮らしが続いている。