大家さんは大忙し 〜後編〜

Writen by さとこさん

すっかり秋が深くなり龍神は朝晩随分と冷え込むようになりました。

毎年秋の村祭りの準備の頃、私は子供たちを率いてやることがあります。

それはハロウィンパレードです。今年で7回目でしょうか。

移住したてで、友達もいなかった当初、どうやって私という人間を表現し、分かってもらおうかと悩み、辿り着いた答えが『ハロウィン』でした。(なぜ!?)

今年はソーシャルディスタンスハロウィンパレードという名で開催いたしました。

道の駅龍游にて

さて、龍神村に移住してから都会では経験しなかった信じられないことがたくさん起こっています。
巨大アシダカグモが寝ている時に足に落ちてくる、ムカデが寝ている時に布団に落ちてくるなど。。

落ちてくるシリーズにヒヤヒヤさせられます。

そして今日、天井からゴキ◯リが私の肩に落ちてきましたよ?

きっと、神様が「やぁやぁ。たなごこちの手がぁ止まってるじゃないかぁ〜。よぉし、ここらで一つ、ネタを作ってやろうかぁ。それっ。ゴキ◯リを落としてやったぞぉ。」と言っている声が聞こえてきました。。

前置きが長くなりましたが前回の『大家さんは大忙し〜前編〜』の続きをお話ししたいと思います。まだお読みでない方はお先に御一読下さい。

※前回の記事
https://tanagokochi.jp/article/478/

・・・・・

7/3。

不気味でジメジメしたその夜。

またあの青大将がやってくると確信していた私は、10分おきに玄関までツバメのヒナの様子を見に行きました。

3羽のヒナは狭い巣の中で身を寄せ合ってスヤスヤと寝ています。

様子を見るたびに、以前青大将が上ってきた壁をチェックしていました。

前回蛇が上ってきた壁とそれを防ぐ蛇ホイホイ
手前の〇は前回落とされた巣。奥の〇は3羽の巣

蛇ホイホイは蛇返しのビニール袋だけでなく上までガムテープを裏返しの状態で貼ってあります。蛇が上ろうものなら、体にガムテープがへばりつくはず。

よし、いない。

よし、いない。

と、壁を数回確認して。。

!!!

え!そこから!?

なんと、前回とは違う場所から青大将の顔が巣を覗いていました!

もしかしたらこちらからも来るかもしれないとビニールを貼っておきましたが役に立たず・・

赤い矢印に沿って青大将が!

青大将の背筋や尻尾はすごい筋肉なのでしょう。ちょっと尻尾を別の場所に絡ませておくだけで体を支えることが出来ていました。

この日は夫が在宅していたので、大声で呼び助けを求めました。

夫は多分、私よりゴキ〇リや蛇がダメ。

女子みたいにキャーキャー言いながら「キモイ!!」と何度も叫びながらモップでエイエイツンツンしていました。その可愛らしい声につられて同じく東京から移住されたお隣のご夫婦がベランダから顔を出してくれました。

青大将は下に落ちずに我が家の2階のベランダに上ってしまいました。

ここで私はうちの3種の神器であるトングを手に、二階へ勇ましく上っていきました。

子供部屋の窓を開けるとそこに青大将がとぐろを巻いて鎮座していたのです。

私は全集中で青大将にトングを振り下ろし、そして全集中でツンツンして・・

バサッ

「やだぁ~落とさないでよぉぉ!!キモイキモイ!!」なんて声も聞こえましたが

大きな体の青大将は夫が待ち受ける下に落ちてゆきました。

その頃にはお隣さんも外に出てきてくれて、モップを持ちながらキャーキャーと叫ぶ夫の援護に回ってくれていました。

そして・・出ました蛇の掴み取り。

夫ではなく、お隣さんが。

お隣さんによって捕まえられた青大将

3羽のツバメのヒナを一匹の青大将から守るべく戦う3人の人間。

人間のこんなドタバタ劇を気にすることもなくスヤスヤと眠るヒナたち。

あと数分、私に気づかれなければ確実に獲物にありつけた青大将。

弱き者を助けることは強き者の責務。

でももし、青大将が弱き者の立場であったら私は青大将を助けることがあるのだろうか・・

そんなことを考えながら数日経過。

7/10。

大雨警報が3日ぶりに解除され、また翌日も大雨の予報だったこの日、ツバメたちは巣立って行きました。

きっと親たちが巣立ちのチャンスは今日しかないと決めたことなのでしょう。

あなたたちのお子さんたちを守り抜きましたよ。どうぞまた来年もいらしてくださいね。

全力でお守りします。

龍神村の秋の紅葉
この記事を書いた人

さとこさん

埼玉県出身。3年間の海外生活以外は実家を出たことがない。 子供英会話講師など英語に関わる仕事を続けて、友人の紹介でテレビ番組の翻訳業務に就き、テレビディレクターである今の夫と結婚。東京でのママ生活を満喫していた。ところが、2012年夏、夫の「龍神村へ移住したい」の一声で当時2歳の息子と3人の移住決定。今は長女にも恵まれ、親族も友達もいなかった関西の、しかも山奥での私の暮らしが続いている。